夏休みも、もう残り僅かですね(執筆時)。宿題の進み具合はいかがでしょうか。
今年は9月1日が日曜日なので、夏休みが1日長いですね。得した気分になる一方で、夏休み明けがいきなり1週間学校なので、切り替えが大変かもしれませんね。
さて、夏休みの宿題と言えば何でしょうか、学年にもよると思いますが、ワークに読書感想文に自由研究、いろいろありますね。
どうして大人には宿題がないの?という家庭での会話から、それでは何か大人も自由研究をやろう、となりました。
しかし言ってはみたものの何も思い浮かばず(小学生のころから変わっていません)。。何かないかと探し続けてやっとテーマを見つけました。
そのテーマは「台風」です。
先日の台風5号は、8月12日に東北地方の太平洋側に上陸しました。右向きにカーブすることが多い台風が左側に曲がって、しかも東北地方を直撃したという事は非常に珍しいと思って調べたところ、このようなルートを通った台風は、1951年(昭和26年)からの観測史上3例目なのだそうです。
(2016年の10号、2021年の8号が東北地方の太平洋側に直接上陸した過去の2例)
そんなところから、台風って何だろうか?という事を調べてみることにしました。そこからいくつかをご紹介します。
・そもそも台風とは
台風とは何でしょうか。日本のはるか南、熱帯の海上で発生する低気圧のことを「熱帯低気圧」と呼ばれますが、このうち北西太平洋もしくは南シナ海という決められた範囲にあって、最大風速の10分間平均が17.2 m/s以上に発達した熱帯低気圧を「台風」と呼びます。
北大西洋・北東太平洋で発生するとハリケーン、インド洋・南西太平洋で発生するとサイクロンと呼ばれます。海からの水蒸気をエネルギー源として成長し続けます。
海水温が低くなる、もしくは上陸により水蒸気の供給が減ると弱くなります。地図で示すと解りやすいのですが、権利の都合で掲載はしません。
細かい発生場所と風速の違いは少しありますので、是非ご自身で調べてみてください。
・台風の名前
今回のテーマを決めるきっかけとなった台風5号は「マリア」という名がついていました。この名前、いったい誰がどのようにつけているのかと思っていたのですが、実は既に決まっています。台風を影響を受ける14か国・地域が10個ずつ名前を持ち寄り、140個の名前が順番に割り当てられていくのです。ただし、大きな被害をもたらした場合は、その名前は変えられて、以降使わなくなることもあるそうです。
このブログを書いているとき、台風10号が発生していますが、その名前は「サンサン」です。まだ発生していない11号の名前は、日本が名付けた「ヤギ」になります。詳しいことは以下を参照してください。
・台風は沖縄県には上陸しない
沖縄県は台風銀座と言われる地域の一つで、たびたび台風の影響を受けています。毎年何個か台風が上陸しているようなイメージがありますが、実は沖縄県には台風が上陸したことがありませんし、この先の未来でも上陸はしません。
なぜかというと、台風の上陸の定義は、「台風の中心が完全に本土(北海道、本州、四国、九州の4島)の陸上にあること」だからです。本土以外の島や半島をかすめた場合は「通過」となります。この定義のため、沖縄県には台風は上陸しません。
・台風は動けない
台風は自力では動けません。台風の本来の姿は非常に強い低気圧として、その場で「強い風を吹かせ、雨を降らせているだけ」です。それでも動いていくのは、周囲の低気圧・高気圧・上空の風(偏西風)などの影響を受けるためです。皆さんも天気予報で進路予報を見たことがあるかと思いますが、これは進路に影響を与える様々な要素(データ)を入力し、スーパーコンピュータが計算しています。
その要素があまりに多いことから進路予報は非常に難しく、いま発生している台風10号「サンサン」は当初、関東~関西地方を直撃する予報だったと思いますが、毎日のように進路を西に変えて、九州直撃となりました。そして今は日本列島の真上を通過する可能性が高いという予報になっています。
台風の進路予報は、日本の気象庁だけでなく、アメリカ海洋大気庁(NOAA)、アメリカ海軍と空軍(JTWC)、ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)なども行っています。それらを見比べてみるのも面白いです。
・台風の発生時期
台風には夏のイメージがありますが、実際には一年中発生しています。今年3年生・4年生が生まれた年である2015年は、観測史上唯一の、毎月台風が発生した年でした。過去の台風に関するデータは、リンク先の気象庁ホームページから確認できます。
リンク先にある台風の発生数を表にしました。約70年分なので長くなりますが、以下の感じです。
2015年だけ、毎月台風が発生していることがわかります。
表だけでは解り辛いので、72年分の月ごとの台風発生数をグラフにしてみました。
12月や1月も台風が発生していることがわかります。でも、やはり発生数のピークは海水温の高い真夏の8月で、逆に最も少ないのは真冬の2月ですね。
さらに、約25年ずつ(1951年~1975年、1976年~2000年、2001年~2023年)の通算発生数のグラフも作成してみます。2001年~2023年のみ、2年分データが少ないです。
近年は地球が温暖化しているといわれ、実際、真夏の猛暑は過去の経験を毎年上回るような暑さです。
台風が発達するには海からの水蒸気が必要で、気温が高い方が水蒸気が増えますので、近年は台風の発生数が増えているのかと思っていました。しかしながら、台風の通算発生数は25年で区切ったときに大きな差はないと言えるでしょう。
気象とは、そう単純なものではないようです。
台風は、海上では海水をかき混ぜて海水温を下げ、陸上では恵みの雨をもたらしますので、必要なものです(サンゴは台風の波で折れてしまうのですが、一方で台風が来ないと高水温で死んでしまいます)。
台風10号「サンサン」は、その強さと進路により既に様々な被害をもたらしています。これから先、その被害が最小限で済むようにと祈るばかりです。
今回のブログを書くにあたり、全てのデータは気象庁ホームページが出典元です。細かいデータが載っていて面白いですよ。ぜひ、皆さんも覗いでみましょう。
気象庁ホームページに載っているデータは、僅かなルールを守るだけで、今回のブログのように誰もが使えます。自由研究の味方です。有難いですね。