パリオリンピックが開幕しました。パリオリンピックでは32競技329種目が実施され、7月26日から8月11日までの17日間にわたって開催されました。パリでの開催は1900年、1924年に次ぐ3回目で、ちょうど100年ぶりでした。皆さんはどのように観戦されましたか?今回は、テレビは勿論、配信サービスも充実していました。まさかの現地観戦という、羨ましい方もいらっしゃるでしょうか。次はロサンゼルスです。4年後というのはすぐのような気もしますし、ずっと先のような気もします。今の2年生が6年生になる年と考えると、何故だかワクワクしてしまいます。
さて、オリンピックに話を戻しますと、開催期間はオリンピック憲章36条付属細則で「開会式当日を含めて16日を超えてはならない。但し、日曜日もしくは祝日に競技が予定されない場合には、オリンピック競技大会の開催期間は、IOC理事会の承認を得てその分だけ延長することができるものとする。」と決まっています。
…といいながら、日程の都合上仕方がないのでしょうけれど、開幕式前にサッカーと7人制ラグビーは予選が始まっており、オリンピック憲章は守られているのだろうかと思ってしまいます。ですが、そうでもしないとすべてを終わらせることができないのでしょうから、ここは「大人の事情」ということでスルーしましょう…。
話は脱線しましたが、開催期間が決まっているため、いくら競技場を増やしたところで、開催できる競技数には限界があります。そのうえ、開催地で盛んな競技や世界的に人気が出てきている競技が開催競技に追加されるので、一方では除外されてしまう競技がでてしまうという事が起こります。実際に、前回の東京オリンピックと比べると、野球・ソフトボール・空手が除外されました。しかし、次のロサンゼルスでは野球・ソフトボールは再び採用されます。そして、パリで新競技となったブレイキンは、アメリカ(といってもニューヨークですが)が発祥の地なのに早くも除外されるのだそうです。今回のブログでは、そんなオリンピックから除外された競技に光を当ててみましょう。
その競技とは、運動会でもおなじみの「綱引き」です。1900年のパリオリンピックから1920年のアントワープオリンピック(ベルギー)まで、5大会に渡って正式種目として採用されました(つまり、前回のパリオリンピックで除外されました)。競技としての綱引きは、当然ですがいろいろなルールや反則があり、とても見応えのある競技です。興味のある方は、日本綱引連盟の競技規則をご確認ください。
さて、あまり知られていないと思いますが、綱引きにもポジション名があります。一番後ろで綱を支える人のことをアンカー(アンカーマン)と言います。アンカーマンだけは縄を肩にかけたりという事が認められる特別なポジションなのだそうです。
ところで、「アンカー」とは何でしょうか?アンカーとは船の錨(いかり)のことです。錨は、船はもちろん、漁に使う漁具を水上・水中で固定するときに使います。綱引きのチームを船とみなすと、アンカー(アンカーマン)は、最後尾でまるで錨のようにチームが負けないように踏ん張るポジションとなります。そのため、チーム一番の力持ちが務めることが多いようです。そして、このアンカーというポジションは、運動会や陸上競技で行われるリレーのアンカーの語源となっています。
現代では、アンカーと聞くと、「リレーの最後を走る足の速い人」のイメージかと思います。共通するのは「チーム内の順番で最後」ということですが、タイプとしては力持ちではなく足の速い人ですから、真逆の使われ方になってしまいました。実際に、「アンカー」と聞いて連想する競技は綱引きよりリレーの方が多いのではないかと思います。綱引きはオリンピック競技から100年前に除外されてメジャー競技からは一歩後退してしまったかもしれません。しかし、リレーの最後の人を何と呼ぼうか?となった時に綱引きのポジション名をそのまま使おうと決めたわけですから、まだまだメジャー競技と言えるのではないでしょうか。
綱引きは楽しいだけではなく、由緒ある競技の一つです。リレーのアンカーには立候補できないけれど、綱引きのアンカーならできる!力には自信がある!という方は、綱引きをする機会があったならば、是非ともアンカーに立候補しましょう!あなたにしか出来ないこと、きっとありますよ!