2024年9月17日は中秋の名月でした。テレビでも中継など報じられていましたので、空を見上げて、お月見を楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。
中秋の名月と言われるくらいなので、とてもきれいな月でしたが、実は満月ではありませんでした。新月(真っ暗な月)を含む日から15日後が、旧暦の15日(=15夜)になり、特に旧暦8月15日の15夜に見る月を中秋の名月と呼ぶのですが、月が新月から満月になるのにかかる日数は、月が太陽の周りをまわる軌道(公転)が多少楕円であるために一定ではありません。最大で15.6日、最小で13.9日と変化するそうです(注1)。実際、今年の中秋の名月の月齢は14。15が満月なので、翌日が満月だったわけです(注2)。それでも、ほぼ満月ではありますので、”名月”であることには変わりはありません。
さて、そんな中秋の名月を撮りたかったのですが、タイミングが悪く雲がかかっていたため、翌日の満月を撮影してみました。
少し拡大してみましょう。下の方にある白いクレーター(ティコという名前がついています)がよく見えるように拡大してみます。
ティコの直径は85kmもあるそうですので(注3)、ここに足立小~千葉方面であれば館山、神奈川方面であれば箱根くらいまでが収まってしまいます。そう考えると月も大きいですね。
月を楽しんだ後は、その周りをジッとよく見てみます。すると、徐々に暗さに慣れてきて、その他の星が見えてきます。その中の、月の右側に見える星に注目してみます。
全てのツールを駆使して拡大してみます。これは何だろう??
よく解りません。そこで、さらに拡大してみます。すると…
土星でした!2024年の中秋の名月では、満月が明るいために若干見づらくはあるものの、土星も近くにいます。さすがに肉眼では土星の環は見えないと思いますが、山の上や離島などの天体観測に適した場所までいかなくても、足立区からでも遥か遠くの土星も確認できるということにテンションが上がってしまうのは私だけでしょうか。国立天文台の「今日のほしぞら」が出典元の、当時の星の様子の画像を下に貼ります。拡大前の写真に戻って、月と土星の位置を確認してみてください(残念なことに、海王星はわかりませんでした。月が明るすぎですね)。
ということで、注意すれば家からでも見える土星ですが、今年の12月8日には、土星が月に隠れる「土星食」があります。
12月なので少し寒いですが、日曜日ですし、土星食の時間も18:19~19:02と、観測には非常に好都合です。興味がある方は、今からでもカレンダーに土星食の予定を入れておいてくださいね!
現代では、小さい画面を凝視する時間が長い生活を送っている方が多いかと思います。たまには、何も考えずに大きな空を見てみるのもいいですね。
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注1:出典:国立天文台 中秋の名月(2023年9月)(https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/09-topics04.html)
注2:厳密には、1日の中でも何時の月齢をその日の月齢とするかによって値が変わります。月齢を紹介するサイトをいくつか調べたところでは、2024年9月17日の月齢は13.9~14.2でした。国立天文台の暦計算室のサイトである、今日のほしぞら(https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/skymap.cgi)で調べた限りでは0:00が13.5、18:00が14.3、24:00が14.5でしたので、その範囲に入っていれば、間違ってはいないのでしょう。
注3:大阪市立科学館 月のクレーター:コペルニクスとティコ(http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/news/text/a050318.html)